生成AIスクールの補助金で最大70%オフ。その前に、30代会社員が確認すべき「転職前提」の条件

生成AIスクールの料金ページには、たいてい大きくこう書いてある。 「補助金適用で最大70%オフ」。

26万円のコースが5万円台になる。 それなら妻にも説明がつく、と思って申込画面まで進んだ。

進んだところで、手が止まった。 補助金の適用条件に「キャリア面談の受講」とあり、その面談で聞かれるのは転職の意向らしい。

転職するつもりは、今のところない。 今の会社でAIを使える側に回りたいのと、副業を育てたいのが目的だ。 では、転職しない人間はこの70%オフを使えないのか。

調べた結果を先に言うと、使える制度と使えない制度がある。 「補助金で安くなる」と一括りにされているものの中身は2つの別制度で、どちらを使えるかは目的で決まる。 ここを確認せずに申し込むと、面談の場で気まずい思いをするか、貰えるはずの給付を取りこぼす。

この記事は、スクール5社の比較で軽く触れた補助金の話を、申請する側の目線で確認し直したものだ。


「補助金で安くなる」の中身は、2つの別制度

スクールの料金ページで「補助金・給付金対応」と書かれているとき、指しているのはほぼ次のどちらかになる。

  • リスキリング補助金(経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」)
  • 教育訓練給付金(厚生労働省)

名前が似ているうえ、スクール側も「補助金」とまとめて表記するので、同じものの別名に見える。 別物である。 管轄も、条件も、還元率も、そして求められる目的も違う。

リスキリング補助金教育訓練給付金
管轄経済産業省厚生労働省
還元率最大70%(上限56万円)20〜最大80%(種類による)
対象者在職中の会社員・契約社員雇用保険の加入歴がある人
前提となる目的転職を目指すこと問われない
申請窓口スクール経由ハローワーク

この表の4行目が、この記事の本題になる。


リスキリング補助金:最大70%、ただし転職を目指す人の制度

リスキリング補助金の正式名称は「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」という。 名前に答えが書いてあった。 キャリアアップ、つまり転職による年収アップを支援する事業である。

仕組みはこうなっている。

  1. 対象講座を受講申込し、キャリア面談を受ける
  2. 受講を修了すると、受講料の50%(上限40万円)が還元される
  3. その後、実際に転職し、1年間継続勤務すると、追加で20%(上限16万円)が還元される

70%という数字は、2と3を合算した最大値だ。 転職しなければ、追加の20%は出ない。 そして入口のキャリア面談では、転職意向の確認がある。

「転職するつもりです」と言えば面談は通るだろう、という考え方もある。 実際、その場をしのぐ人もいるらしい。 ただ、制度の設計意図と自分の目的がずれたまま入ると、面談のたびに話を合わせる居心地の悪さを抱えることになる。 僕はそれが嫌だった。

条件面の注意も2つある。

  • 在職中であることが条件。フリーランスや経営者は使えない
  • 雇用形態は正社員・契約社員が対象(パート・アルバイトは対象外の場合が多い)

要するに、この制度が刺さるのは「今の会社を出て、AI人材として年収を上げる」と決めている人だ。 それなら70%はきわめて大きい。


教育訓練給付金:最大80%、転職しなくていい制度

もう一つの教育訓練給付金は、ハローワーク経由の制度で、こちらは転職を前提としない。 スキルアップ目的でも、副業のためでも使える。

種類が3つあり、給付率が違う。

  • 一般教育訓練給付金:受講料の20%(上限10万円)
  • 特定一般教育訓練給付金:受講料の40%(上限20万円)
  • 専門実践教育訓練給付金:受講料の50%(年間上限40万円)。資格取得と就業などの要件を満たすと最大80%(年間上限64万円)

どの講座がどの区分に該当するかは、講座ごとに厚生労働大臣の指定で決まっている。 スクールの公式サイトに「専門実践教育訓練給付金対象」のように書かれているので、そこで確認できる。

利用条件は、雇用保険の加入期間で決まる。

  • 初めて使う場合:雇用保険の加入期間が1年以上(専門実践は2年以上)
  • 2回目以降:前回の受講開始から3年以上経過

30代の会社員なら、ほとんどの人が条件を満たしている。 転職の意向を聞かれることはない。 会社に通知が行くこともない。

在職のまま、副業のために学び、給付を受ける。 この使い方が制度として正面から認められているのが、教育訓練給付金のほうだ。


30代会社員のケース別、どちらを使うべきか

自分がどちらの制度に向いているかは、3つのケースで整理できる。

ケース①:転職を視野に入れている

リスキリング補助金が第一候補になる。 最大70%の還元は、転職して1年勤続すれば満額受け取れる。 転職活動そのもののサポート(キャリア面談)も付いてくるので、目的と制度が一致している。

ケース②:今の会社に居ながら、社内評価と副業のために学ぶ

教育訓練給付金の一択になる。 転職意向を問われず、在職のまま使える。 還元率は講座区分によるが、専門実践の対象講座なら50%が基本線になる。

僕はこのケースだ。

ケース③:フリーランス・独立を考えている

リスキリング補助金は在職者限定なので、在職中に受講を始めるなら選択肢に入る。 退職後だと使えない。 教育訓練給付金は、離職後1年以内なら加入歴で使える場合がある。 独立を考えている人は、会社を辞める前に受講を始めるのが金額面での正解になる。


スクール別の対応状況(2026年7月時点)

前回比較した5社について、どちらの制度に対応しているかを確認した。

スクールリスキリング補助金教育訓練給付金実質コストの目安
キカガク 生成AIビジネス実践一部コース対応264,000円 → 52,800円〜
侍エンジニア 生成AI基礎実践対応対応(一部コース)198,000円 → 72,000円〜
テックアカデミー(ChatGPTマスターセット)対応非対応88,000円 → 48,000円〜
DMM 生成AI CAMP 学び放題非対応(個人向けサブスク)非対応月16,280円(そのまま)
SHIFT AI非対応非対応月21,780円(そのまま)

ケース②(転職しない・在職のまま)の30代会社員が給付を使うなら、現実的な組み合わせはこうなる。

  • 体系的に学ぶ+給付を最大化:キカガク(教育訓練給付金で実質5万円台)
  • マンツーマンの伴走が必要:侍エンジニア
  • 低予算で短期集中:テックアカデミー(ただしリスキリング補助金なので転職前提の面談がある点に注意)

サブスク型のDMMとSHIFT AIは給付の対象外だが、そもそも月額1.6万〜2.2万円で始められるので、「まず触る」用途なら給付なしでも成立する。 一括数十万円のコースに給付を効かせるか、給付なしの月額で小さく始めるか。 これは金額の問題というより、スクール比較の記事で書いた「続けられる仕組み」をどちらに感じるかで決めていい。


申請の流れと、2026年の期限

教育訓練給付金(ケース②の人向け)の申請は、次の流れになる。

  1. 受講前:スクールの無料説明会で「この講座は教育訓練給付金の対象か」「どの区分か」を確認する
  2. 受講前(専門実践の場合):ハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受け、受給資格確認を行う。受講開始の2週間前までが期限
  3. 受講中〜修了:出席率や課題提出などの修了要件を満たす
  4. 修了後:ハローワークで支給申請(修了日の翌日から1ヶ月以内)

つまずきやすいのは2で、専門実践教育訓練給付金は受講開始前の手続きが必須になる。 申し込んでから「知らなかった」では戻れないので、説明会の段階で必ず確認する。

リスキリング補助金のほうは、スクール経由で申請するので手続きは楽だが、事業自体に期限がある。 2026年度の枠では、受講修了が2027年1月末までという条件が示されており、6ヶ月コースなら2026年7月末までの受講開始が目安になる。 この記事を書いている時点で、その期限はもう目の前だ。 転職前提でこの制度を使うつもりの人は、検討を今月中に終わらせる必要がある。


結論:僕はどちらを選んだか

僕のケースはさっきの整理でいうケース②(転職しない・在職のまま・副業のため)なので、使うなら教育訓練給付金になる。

候補は、教育訓練給付金で実質5万円台まで下がるキカガクか、給付なしで月額のまま小さく始めるDMMか。 一括26万円(戻ってくるとはいえ、いったん全額払う)と、月1.6万円。 家計へのインパクトの出方が違うので、ここは妻との相談事項として持ち帰っている。

給付金は、修了後に振り込まれる。 つまり最初に全額を立て替える。 「実質5万円」の字面だけ見て家計の話を飛ばすと、あとで揉める。 30代の既婚者は、この一点だけ覚えて帰ってほしい。

無料の入口を再掲しておく。 説明会で「給付金の区分」と「立て替えの期間」を聞けば、この記事の内容は自分の数字で確認できる。

  • キカガク 無料オンライン説明会:https://www.kikagaku.co.jp/
  • 侍エンジニア 無料カウンセリング:https://www.sejuku.net/
  • テックアカデミー 無料相談:https://techacademy.jp/
  • DMM 生成AI CAMP 無料セミナー:https://genai.dmm.com/

この記事は、2026年7月時点で公開されている制度情報に基づいて書いています。補助金・給付金の制度内容、対象講座、期限は変更される可能性があります。最終的な適用可否は、各スクールの説明会およびハローワークで必ず確認してください。掲載サービスは提供内容が変更になる場合があります。

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